skillの役割を理解する
この章では、skillを何のために使うのかを確認します。
skillは、特定の作業で繰り返し使う知識や手順を、AIが参照しやすい形にまとめたものです。 AGENTS.mdにすべてを書くのではなく、必要なときだけ呼び出す小さな手順書として考えます。
この章でできるようになること
- skillを使う目的を説明できる
- AGENTS.md、プロンプトテンプレート、skillの違いを説明できる
- skill化に向く作業と、向かない作業を分けられる
skillは特定作業用の手順書
AIに何度も同じ作業を頼んでいると、毎回同じ前提や注意点を書く場面が出てきます。
たとえば、次のような依頼です。
- 教材本文を初学者向けにレビューする
- 画像生成の指示を、教材用のインフォグラフィックに寄せる
- commit前に確認する項目をそろえる
- 特定のフレームワークの作法に沿って実装する
こうした作業で、毎回同じ説明をプロンプトに貼るのは手間です。 かといって、AGENTS.mdに全部入れると、AGENTS.mdが大きくなりすぎます。
そこで、特定の作業だけで使う知識や手順をskillとして分けます。

AGENTS.md、プロンプトテンプレート、skillの違い
3つは似ていますが、役割が違います。
| 置き場所 | 向いている内容 |
|---|---|
| AGENTS.md | リポジトリ全体で常に守ってほしい方針 |
| プロンプトテンプレート | 会話の中で何度も使う依頼文の型 |
| skill | 特定作業で使う知識、手順、判断基準 |
AGENTS.mdは、AIがそのリポジトリで作業するときの基本方針です。 たとえば、「ユーザーの変更を勝手に戻さない」「ファイル編集前に意図を説明する」のような、常に守ってほしいことに向いています。
プロンプトテンプレートは、その場でAIに出す依頼文の型です。 たとえば、「5問の一問一答形式で問題を出して」のように、会話の中で使います。
skillは、特定の作業で必要になる手順や知識をまとめる場所です。 たとえば、「教材画像を作るときのファイル名、保存場所、確認方法」のように、毎回は使わないけれど、その作業では何度も必要になる内容に向いています。
skillに向く作業
skillに向くのは、繰り返し使う作業です。
目安は次の通りです。
- 同じ作業を何度も頼む
- 毎回同じ注意点を説明している
- その作業だけで必要な専門知識がある
- 出力形式や確認手順をそろえたい
- 失敗したときの直し方も決まっている
たとえば、この教材制作では、画像を追加するときに次のような確認が必要です。
- 文字入りのインフォグラフィックになっているか
- 章内容と対応しているか
- 日本語の誤字がないか
docs/images/配下に保存しているか- Markdownから相対パスで参照しているか
これは毎章で必要になりやすいので、skill化の候補になります。
skillに向かない作業
一方で、何でもskillにすればよいわけではありません。
次のような内容は、skillに向きません。
- 1回だけの作業
- プロジェクト全体で常に守る安全ルール
- まだ決まっていない要件
- 頻繁に変わる章立てや締め切り
- パスワード、APIキー、トークンなどの秘密情報
常に守る安全ルールは、AGENTS.mdに置くほうが向いています。 まだ固まっていない要件は、要件メモとして残すほうが扱いやすいです。 秘密情報は、skillにもAGENTS.mdにも書きません。
最初は作らなくてよい
この章で大事なのは、すぐにskillを作ることではありません。
まずは、AIに頼んでいる作業を観察します。
- 何度も同じ説明をしているか
- 出力の形式が毎回ぶれているか
- 手順を忘れると危ない作業か
- AGENTS.mdに入れるには長すぎるか
これらに当てはまるものが見つかったら、skill化を検討します。
やってみる
自分がAIに頼みがちな作業を3つ書き出します。
1.
2.
3.
それぞれについて、次のどれに近いかを考えます。
- AGENTS.mdに残す
- プロンプトテンプレートにする
- skill化を検討する
- まだメモに置いておく
迷った場合は、無理に決めなくて構いません。 迷う理由を言葉にすることが、分け方を理解する練習になります。
AIに聞いてみよう
AIに、skill化するべきかを一問一答で確認してもらいます。
AIに頼む作業を、AGENTS.md、プロンプトテンプレート、skill、作業メモのどこに置くべきか分類する練習をしたいです。
次の条件でお願いします。
- 問題は5問
- 一問一答形式にする
- 1問ずつ作業例を表示し、その直下に選択肢も毎回表示する
- 選択肢は、A: AGENTS.md、B: プロンプトテンプレート、C: skill、D: 作業メモ、にする
- 私は各問題に対してA/B/C/Dだけで回答します
- 私が回答するまで、その問題の答え、採点、解説を表示しないでください
- 私が回答したあとで、その問題を採点し、理由も解説してください
- 解説が終わったら、次の問題を1問だけ出してください
- ファイル編集、削除、commit、pushはしないでください
この依頼では、AIに質問役を頼みながら、置き場所の判断を練習します。
何が起きたのか
この章では、skillを「特定作業用の手順書」として扱いました。
AGENTS.mdは常に守る方針、プロンプトテンプレートは会話で使う依頼文、skillは特定作業に必要な知識や手順です。 この3つを分けると、AIに渡す情報を整理しやすくなります。
次章では、AGENTS.mdに残す内容とskillに切り出す内容を、もう少し具体的に分けていきます。
次へ
次は、AGENTS.mdとskillを分けます。