変更前後で確認できる形にする
この章でできるようになること
AIに作業を任せる前に、変更前、変更中、変更後で何を確認するかを決められるようになります。
前の章では、AIに見せる情報と見せない情報を分けました。 この章では、AIが作業したあとに、何が変わったのか、期待どおりに動くのかを確認するための手順を作ります。
まず知っておくこと
AIが「できました」と言っても、それだけで完了にはしません。
完了したかどうかは、差分、build、test、lint、画面、ログなどで確認します。 どの確認を使うかは、作業の種類によって変わります。
確認方法を先に決めておくと、AIに任せる作業が大きくなっても、途中で止めたり、戻したりしやすくなります。

確認を3つのタイミングに分ける
AIの作業は、変更前、変更中、変更後に分けて確認します。
変更前
変更前には、今の状態を確認します。
git status
git status は、どのファイルが変更されているかを確認する入口です。
AIに作業を頼む前に、すでに変更済みのファイルがあるかを見ます。
すでに未commitの変更がある場合は、それが自分の作業なのか、AIに触らせてよいものなのかを確認します。
変更中
変更中には、AIにいきなり最後まで進ませすぎないようにします。
たとえば、次のように頼みます。
まず変更予定のファイルと理由を説明してください。
まだ編集しないでください。
または、実装を始めたあとでも、途中で止めて確認します。
ここまでの変更内容を要約し、次に変更する予定のファイルを説明してください。
まだcommitしないでください。
AIに長く走らせるほど、方針がずれたときに戻しにくくなります。 途中で止める場所を作ることが大切です。
変更後
変更後には、差分と動作を確認します。
git diff
git diff は、ファイルの中身がどう変わったかを見るコマンドです。
AIが編集した内容を、commit前に確認するために使います。
Webサイトやドキュメントでは、buildも確認します。
npm run build
buildが通ることは、最低限の確認です。 buildが通っても、文章がわかりやすいとは限りません。 そのため、差分、表示、リンク、画像、文章の流れもあわせて見ます。
確認コマンドの役割
確認コマンドは、同じように見えても役割が違います。
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
git status | どのファイルが変わったか |
git diff | 中身がどう変わったか |
| build | プロジェクトとして組み立てられるか |
| test | 期待する動作が壊れていないか |
| lint | 書き方や形式の問題がないか |
| 画面確認 | 実際に読めるか、操作できるか |
この表は暗記するものではありません。 AIに作業を頼む前に、「今回は何で確認するのか」を選ぶために使います。
やってみる
AIに、作業前後の確認手順を作ってもらいます。
このリポジトリでAIにドキュメント修正を頼む前に、
変更前、変更中、変更後で確認することをチェックリストにしてください。
次の観点を含めてください。
- git status
- git diff
- npm run build
- 画像参照
- Markdownリンク
- commit前に人間が見ること
まだファイルは変更しないでください。
AIが出したチェックリストを、そのまま全部使う必要はありません。 自分の作業に合うものを選びます。
AIに聞いてみよう
これからAIに小さな変更を頼みます。
作業を始める前に、変更前、変更中、変更後で止まるポイントを作ってください。
それぞれのタイミングで、何を確認し、どのコマンドを使うかを説明してください。
まだファイルは変更しないでください。
何が起きたのか
この章では、AIに作業を任せる前に、確認方法を決めました。
AIが作業したあとに確認方法を考えると、どこを見ればよいかわからなくなることがあります。 先に確認方法を決めておくと、AIの作業を受け止めやすくなります。
確認は、AIを疑うためだけのものではありません。 AIと一緒に作業を進めるための共通のものさしです。
運用者の視点
大きめの作業をAIに頼むときは、次の順番を基本にします。
git statusで作業前の状態を見る- AIに変更予定ファイルと理由を説明させる
- 小さく編集させる
git diffで差分を見る- build、test、lintなど必要な確認をする
- 人間が採用するか判断する
この順番を守ると、AIに任せる量を増やしても、どこで確認するかを見失いにくくなります。
次へ
次は、第1部の確認です。 自分のプロジェクトで、AIに任せるための作業環境に何が必要かを棚卸しします。